締付に関する「力」と基礎知識
トルク
トルクは回転する力(=軸を中心に締付けるための力)。「力」×「長さ」で表現されます。ボルト締付においては、トルクをかける事でボルトが引っ張られ、引張り力と座面の摩擦力により締め付けられます。
単位はN・m(ニュートン・メートル)、他にkgf・m、kgf・cm等で表現します。
軸力
締付により引き延ばされたボルトが元に戻ろうとする力。干渉する要素が少ないので高精度なボルト締付の場合には、トルク管理より軸力による管理がお勧めです。単位はNで表します。
応力
物体に外からの力が加わると、物体内部にはもとの形状や寸法を保とうとする抵抗(力)が働く、これが応力です。加えている力の大きさ(荷重)を、力を加えられている材料の断面積で割った値をいいます。単位はN/mm2やMpaで表します。
反力
油圧トルクレンチを対象物にセットした場合、対象物の重さ>本体の重さである事がほとんどで、その場合は軸ごと本体が回転してしまいます。本体の回転をとめて、軸のトルクを正しくアプリケーションに伝えるためには、「かけたいトルクと同等以上の力で本体をおさえる」必要があります。これを「反力をとる」といいます。
AF(ボルト対辺・ナット対辺)
ボルト径を基準とした六角二面幅寸法。
ねじピッチ
ねじ山からねじ山の距離。ねじのピッチには並目と細目の2種類があり、ネジ径ごとにピッチが定められています。
ボルトピッチ
複数並んだボルト同士の中心から中心の距離。
ボルト伸び
素材金属の特性により、ボルトの頭が座面にぶつかるまで締付けると、ねじ山部分はそれ以上にねじ込まれ、ボルトが引き延ばされます。(その伸びたボルトが元に戻ろうとする力を軸力と言います。)ただし伸ばし過ぎると破断したり、元に戻ろうとする力が弱くなったりする(塑性域に入る)ので注意が必要です。
焼き付き/かじり
熱伝導率が低く線膨張係数が大きいステンレスなどのボルトを締付けると、ねじのはめあい部に摩擦熱が発生します。その熱によってねじ部が膨張し、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなることを焼き付き(かじり)と言います。